[NEW!] 定期総会並びに新役員体制の報告とあいさつ
時下 皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素より当協議会に対し、ご理解ご協力いただき誠にありがとうございます。
今年7月26日~28日、滋賀県近江八幡市において第34回ろう教育を考える全国討論集会が開催され、4年ぶりの3日間の日程でした。(2020年度コロナ禍の影響で中止。2021年度オンライン。2022年度オンライン&対面。2023年度2日間日程)参加者は130名程で当討論集会開催して以来、初めて200名切りましたが、逆に少人数の中で中身の濃い討論ができたと思います。
最近のろう教育の現状と課題は、次の通りあげられるかと存じます。きこえない・きこえにくい子どもを持つ保護者のニーズやライフスタイルの変容によって、きこえない・きこえにくい子どもも、地域の学校や特別支援学校等への通学を選択されることがろう学校通学するきこえない・きこえにくい子どもたちと比較すると微増しています。その反面、地域の学校等では、きこえない・きこえにくい仲間が集団で集まる場がなく、きこえる子どもたちに囲まれている場合、きこえない・きこえにくいことに引け目を感じ、支援が必要であっても相手にどう伝えていいかわからないという問題に直面することがあります。また家庭においても、きこえる家族とのコミュニケーションや言語から取り残されるという“ディナーテーブル症候群”を抱えるきこえない・きこえにくい子どもへの支援が必要と新たな動きが現れてきています。ろう学校及び地域の学校等は、専門的知識や手話言語を十分に習得している教員の配置が困難だという共通課題を抱えています。また地域の学校からろう学校へ異動する場合も、専門的知識や手話言語の習得を保障する法的な根拠がないため、各学校や教員個人の努力に一任されています。特に地域の学校等では手話言語による授業実施や音声を文字に変換する機器の導入など、適切な情報保障体制の構築、「きこえない・きこえにくい子どももいることが前提の教育環境」への見直しが必要です。
来年は、東京2025デフリンピックが開催されます。1760年、パリで世界初のろう学校が創立された影響で、ヨーロッパに広がり、各国で形成されたろうコミュニティとの交流と連帯を展開し、1924年、パリでデフリンピック前身の第1回世界ろう者競技大会につながったと伺っております。そこで改めてろうコミュニティの大切さを確認して、来年のデフリンピックをきっかけに、ろう学校、地域の学等に通っているきこえない・きこえにくい子どもに、夢と希望を与えるとともに、障害のあるなしに関わらず、互いの違いを認め、リスペクトしあう共生社会を構築したく存じます。
今年度は役員改選に伴い、次頁の通り役員体制となりました。微力ではございますが、皆で力を合わせて、学校においても家庭においても、きこえない・きこえにくい子どもたちにとって、より良い教育環境をめざして進めて参りたく存じます。今後とも引き続きご理解ご協力賜りますようお願い申し上げます。
2024年11月吉日
特定非営利活動法人ろう教育を考える全国協議会
理事長 山根 昭治